国際グラフ2002年9月号に当社が掲載されました。水戸黄門の格さん役でおなじみの横内正さんが当社に訪れ、1時間ほどの対談をさせていただきました。当日がちょうどお誕生日ということで、「おめでとうございます」というと、とても照れていらっしゃいました。画面で見るよりもダンディーで声もシブく、とても存在感のある方でした。



横内 まずは会社の沿革から聞いてまいりたいと思います。ご創業はいつ頃ですか。

野田 昭和36年です。私は脱サラの走りで、戦後に三菱系の旭硝子に6年ほど務めたもののサラリーマンが性に合わず退社を決意。
そんな折、菓子製造を営んでいた親戚から「手伝わないか」と誘われたことがきっかけでこの道に入ることとなりました。まだまだ従業員の待遇などが劣悪な時代でしたのでまずはそれを改革することから始め、製造の仕事にも徐々にのめり込んでいきました。しかし昭和35年頃というのは戦後の作れば売れるという時代から少しずつ厳しくなっていった時期で、友人のせんべい屋さんも経営状態が悪化してましてね。それで私が買い取る形で独立することに。

横内

それ以来せんべいを作りつづけてここまでやってこられたのですね。


野田 はい。創業以来ずっと無漂白の国産小麦粉にこだわりました。
今でこそ珍しくありませんが当時はそこまでこだわって作っているところはまだまだ少なかったのですよ。更に伝統の技術を守りつつ一層おいしくするためミネラル水を用いるなど工夫も凝らしています。昭和37年からは弟もこの仕事に参加することとなり、兄弟で力を合わせ昭和50年には法人化して会社組織としました。

横内 従業員も増えましたか。

野田 たくさん人を雇うより腕の良い職人さんが小数いればいいと考えていますので従業員は常時12〜13名です。従業員に対しては「ここで長い間勤め上げて良かった」と思ってもらえるような会社にしたいと考えています。従業員とは本当に長い付き合いですから家族同然で、中には定年退職後も来てくれる人もいますよ。私は少数精鋭で会社の器に合った分だけの商品を作る”売り切れご免”の商売でいいと考えていまして、無理をして規模を大きくする必要はないと。ですから後を継ぐ息子にも常にそう言っています。

横内 それは堅実な経営理念ですね。私はおせんべいと聞くとしょうゆ味をイメージするのですが、あれとは違うものなのですね。

野田 ええ、関東では米で作った醤油味の草加せんべいをイメージされる方が多いのですが、関西から西ではせんべいというと小麦粉で作る甘いせんべいのことを言うのですよ。せんべいは唐から弘法大師が伝えた伝統ある日本のお菓子です。先ほども言いました通り、創業してから無漂白の国産小麦粉、更に10年ほど前からはミネラル水を使っていますし、180℃の熱で焼き上げるため殺菌もできています。ぜひ召し上がってください。

横内 では− これはおいしい。サクサクして風味があって口どけもいいですね。

野田 しょうが、けいらん、みそ、ごまクッキーなど7種類あり、同時に私どもではカステラも焼いています。ちなみにカステラは以前に注文が殺到して家内と2人で徹夜で焼き上げたこともありますよ。

横内 奥様の協力あっての会社ですね。
繁忙期みたいなものはあるのですか?

野田 1月から4月に集中して忙しいですね。ばらつきをなくすため5月の母の日や9月の敬老の日などギフト向けに通販にも参入しています。

横内 どういう販売ルートがありますか。

野田 メインは生協さんで、ずっとご好評を頂いています。また全国のデパートでの物産展にも参加していますし、2年前から始めた通販でも業績を伸ばしていますので、今後はインターネットでの販売も始めたいですね。
通販を始めて全国からアンケートが返ってきた時には嬉し泣きをしてしまいました。自らおいしいものを作り続けてきたという自負はありますし、地元でもおいしいと好評を博してはいましたが、全国のたくさんの方に食べていただき「おいしい」の声を頂戴すると私のやり方は間違っていなかった、分かって下さる方がこんなにも大勢いらっしゃるのだと感無量でした。
今後は食べて健康になる機能性せんべいをと思案しているところで今はまだ考えているだけの段階ですが、私はこれまでもずっと自分の思いは形にしてきましたから、横内さんも見守っていてくださいよ(笑)

横内 分かりました(笑)。常に先を見通しながら堅実に進んでこられた経営手腕に脱帽です。新商品にも期待していますよ。


株式会社 野田和光堂
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